原田マハ「総理の夫」
8つの物語からなる一冊。
「孫係」母親の父である、つねに紳士然としてかっこいいお祖父ちゃんが1ヵ月一緒に住むこととなった。常に言動も身なりもきちんとしていてかっこいいお祖父ちゃん。一緒にいると気づまりで疲れる・・・と思っていたら、実はお祖父ちゃんも良いお祖父ちゃんを演じていたという事実。人が期待する人物を演じるというのは誰にでもありますよね。
若い頃からお酒を飲んで自身をブスであると周囲に言いふらし場を盛り上げる女性。キャバクラで働くようになり・・・なんか刺さります。
〈武蔵野書店〉吉祥寺本店の契約社員、谷原京子目線の物語。
朝の朝礼から、自己啓発本に影響されて内容のない話をする店長。過去の大ヒット作以降、ヒット作がない作家のサイン会。文芸書売り場を縮小して雑貨コーナーに突発的に展開変更を指示する社長。出版社から書店員全員に強制的に決められた雑誌を大量購入させるシステム。注文しても希望した本を卸してくれない出版社。「新聞に出ていた新刊本を持ってこい」などと注文してくる客。
薄給で生活もカツカツで、つねに「ガルルッ」と喉元で唸り声をあげる出来事盛りだくさんの主人公。書店の問題山積みの裏側が垣間見れて面白い。
原田マハ「総理の夫」
相馬グローバルという、大財閥の次男坊、38歳の相馬日和は鳥類研究所の研究員である。天然、毒気なく、涙もろいお坊ちゃま。曲がったことが大嫌いという妻の相馬凛子は、政権を裏で牛耳る原九郎の策により、第111代総理大臣となる。日本人では初の女性首相、しかも最年少。話題となるのは言うまでもない。
圧倒的な国民の支持を得て、旧体制からの脱却、債務だらけの日本を立て直すための増税、脱原発、子育て支援、少子化対策などをつき進めていく。大手企業と古くからの議員の癒着による増税反対などなど改革の道は困難。総理官邸で同じベッドで眠るも寝る間も惜しみながら国民のために尽くし、会話する時間も無くなり、妻との距離を感じることも。
映画のCMを見る限り、のほほんとした夫の奮闘記かと思いきや、現在日本が抱える問題も多く織り込まれていて面白い。海外では女性の首相は意外にも多く、珍しくないけれど、いつかは日本も女性首相誕生という日が訪れるだろうか?